2018年8月、警察庁の記者発表を各新聞は以下の様に伝えていました。
なお、改正案には、運転免許証に使用する写真について、現在は無帽を指定しているのを、医療や宗教上の理由がある人については、顔の輪郭が分かれば、帽子や布などを着用した写真でよいこととする変更内容も含んでいます。
後で資料で示すように、これは組織的な反対活動によるものでしたが、このパブリックコメント結果を理由として、2018年12月、警察庁は有効期限を当初計画していた西暦一本ではなく、西暦(元号)で表記することに変更した、と発表しました。
今回改正された「道交法施行規則」は「内閣府令」ですが、この件に関して改正された内容は、有効期限欄が「平成 年 月 日まで有効」とあったのを「 年 月 日まで有効」と元号を削除しただけです。したがってパブリックコメントの前後で西暦一本から元号併用に変更しても施行規則の改正内容には全く変わりがありませんでした。
運転免許証有効期限の表記について今回具体的に規定したのは、内閣府令である「道交法施行規則」ではなく、警察庁交通局長と運転免許課長が、各地方へ2018年12月28日に発出した「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令について(通達)」と「道路交通法施行規則の改正に伴う運用上の留意事項について(通達)」という「通達」でした。
その中の「運転免許証の有効期間の末日の部分のうち年の記載については、西暦の次に括弧書きで元号を用いて表示することとし、例えば、有効期間の末日の年が平成35年の場合には、「2023年(平成35年)」と表記すること。」という文章を根拠にしているにすぎないのです。
①意見募集時の画面
ちなみに意見募集にあたっての「案の公示日」「意見・情報受付開始日」同締め切り日はいずれも西暦表記。
②意見募集要項
③新旧対照表
④「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集結果について 2018年12月18日
⑤結果概要
意見総数19,628件 (内訳) パブリックコメント意見提出フォーム911件、電子メール834件、FAX 10,548件、郵送7,335件
なお、警察庁の記者発表に基づく新聞報道では約2万通の意見の内、約4千件が反対、約1万5千件が元号に西暦併記を求める意見だった、ということです。
⑥決定した条文
パブリックコメント前と特に変更点はない。
⑦パブリックコメントにおいて、ファックスでの意見のほぼすべてが、以下と同一文面。
以下は同じところから45通同時に送られた26ページ目。
⑧西暦変更への反対を訴えるビラにそのまま意見を書いたものもあった。
ビラの出所は不詳。
⑨今回の「西暦化」に関して規則改正での変更点は、免許証書式の有効期限欄から「平成」を削除し、他の生年月日などと同じく、「 年 月 日」に変更しただけです。その、変更内容は、パブリックコメントの前の条文案でも、パブリックコメント後に公布された条文でも全く同じです。
⑩西暦か元号かを実際に決めているのは「通達」にすぎない。
警察庁に確認したところ、今回の西暦(元号)という表記を具体的に規定したのは以下の通達でした。
「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令について(通達)」
警察庁丙運発第6 4 号 平成3 0 年1 2 月2 8 日 警察庁交通局長
「道路交通法施行規則の改正に伴う運用上の留意事項について(通達)」
警察庁丁運発第2 6 3 号 平成3 0 年1 2 月2 8 日 警察庁交通局運転免許課長
なお、いずれの通達にも 原議保存期間30年(平成61年3月31日まで) 有効期間一種(平成36年3月31日まで)と記載されています。
民間会社でこのような書類を作ったら、「どういうつもりか!?」と突き返されてしまうでしょう。しかし、このような喜劇を真面目に演じているという異様さが業務を支配している「世界で唯一」の国家こそ、わが「日本」である、という実態を、我々は真面目に考えなくてはなりません。
念のため申し添えれば、警察庁のホームページにおいてこれらの通達のpdfファイル名は、menkyo20181228_064.pdfとmenkyo20181228_263.pdfで、もちろん西暦を使って管理していました。
運転免許証の期限西暦に 警察庁 外国人保有者増加で
元号で記載されている運転免許証の有効期限を西暦で表示するため、警察庁は二日、道交法施行規則の改正案を公表した。同庁によると、外国人の免許保有者の増加が西暦表示への変更の背景という。(東京新聞 2018/8/3)
なお、改正案には、運転免許証に使用する写真について、現在は無帽を指定しているのを、医療や宗教上の理由がある人については、顔の輪郭が分かれば、帽子や布などを着用した写真でよいこととする変更内容も含んでいます。
組織的な反対意見
約1か月のパブリックコメントでは、異例の約2万件もの意見が寄せられ、有効期限の西暦表記について4千件が反対、1万5千件が元号を原則として西暦を併記すべき、との意見だったそうです。後で資料で示すように、これは組織的な反対活動によるものでしたが、このパブリックコメント結果を理由として、2018年12月、警察庁は有効期限を当初計画していた西暦一本ではなく、西暦(元号)で表記することに変更した、と発表しました。
今回改正された「道交法施行規則」は「内閣府令」ですが、この件に関して改正された内容は、有効期限欄が「平成 年 月 日まで有効」とあったのを「 年 月 日まで有効」と元号を削除しただけです。したがってパブリックコメントの前後で西暦一本から元号併用に変更しても施行規則の改正内容には全く変わりがありませんでした。
具体的な表記を決めるのは「府令」ではなく「通達」
また、交付年月日や生年月日欄は以前から元号など入っていない「 年 月 日」の表記でした。すなわち、免許証の元号による有効期限表記はこれまでは「府令」で規定されていましたが、今後は他の欄の年月日と同じく、「通達」で決定される事になったということです。このやり方でいけば、どのような通達を出すかによって西暦一本化でも元号一本化でも可能です。運転免許証有効期限の表記について今回具体的に規定したのは、内閣府令である「道交法施行規則」ではなく、警察庁交通局長と運転免許課長が、各地方へ2018年12月28日に発出した「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令について(通達)」と「道路交通法施行規則の改正に伴う運用上の留意事項について(通達)」という「通達」でした。
その中の「運転免許証の有効期間の末日の部分のうち年の記載については、西暦の次に括弧書きで元号を用いて表示することとし、例えば、有効期間の末日の年が平成35年の場合には、「2023年(平成35年)」と表記すること。」という文章を根拠にしているにすぎないのです。
以下具体的資料
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public e-Govパブリック・コメントページ:2024/08/20確認
ちなみに意見募集にあたっての「案の公示日」「意見・情報受付開始日」同締め切り日はいずれも西暦表記。
②意見募集要項
③新旧対照表
④「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集結果について 2018年12月18日
⑤結果概要
意見総数19,628件 (内訳) パブリックコメント意見提出フォーム911件、電子メール834件、FAX 10,548件、郵送7,335件
なお、警察庁の記者発表に基づく新聞報道では約2万通の意見の内、約4千件が反対、約1万5千件が元号に西暦併記を求める意見だった、ということです。
⑥決定した条文
パブリックコメント前と特に変更点はない。
⑦パブリックコメントにおいて、ファックスでの意見のほぼすべてが、以下と同一文面。
以下は同じところから45通同時に送られた26ページ目。
⑧西暦変更への反対を訴えるビラにそのまま意見を書いたものもあった。
ビラの出所は不詳。
⑨今回の「西暦化」に関して規則改正での変更点は、免許証書式の有効期限欄から「平成」を削除し、他の生年月日などと同じく、「 年 月 日」に変更しただけです。その、変更内容は、パブリックコメントの前の条文案でも、パブリックコメント後に公布された条文でも全く同じです。
⑩西暦か元号かを実際に決めているのは「通達」にすぎない。
警察庁に確認したところ、今回の西暦(元号)という表記を具体的に規定したのは以下の通達でした。
「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令について(通達)」
警察庁丙運発第6 4 号 平成3 0 年1 2 月2 8 日 警察庁交通局長
--抜粋--
2 運転免許証の有効期間の末日に関する表示の見直し関係
(1) 趣旨
我が国における外国人運転免許保有者数が増加するなどの情勢に鑑み、マイナ ンバーカードと同様に、分かりやすいものとなるよう、運転免許証の有効期間の 末日に関する表示の見直しを行うものである。
(2) 内容
運転免許証の有効期間の末日の部分のうち年の記載については、西暦の次に括 弧書きで元号を用いて表示することとした。
3 施行期日
改正府令は、公布の日から施行する。ただし、運転免許証の様式については、改 正後の道路交通法施行規則別記様式第14の様式にかかわらず、当分の間、なお従前 の例によることができる。
「道路交通法施行規則の改正に伴う運用上の留意事項について(通達)」
警察庁丁運発第2 6 3 号 平成3 0 年1 2 月2 8 日 警察庁交通局運転免許課長
--抜粋--
2 運転免許証の有効期間の末日に関する表示の見直し関係
(1) 運転免許証の有効期間の末日の部分の表示
運転免許証の有効期間の末日の部分のうち年の記載については、西暦の次に括弧書き で元号を用いて表示することとし、例えば、有効期間の末日の年が平成35年の場合に は、「2023年(平成35年)」と表記すること。
(2) 運転免許証作成システムの改修等
新しい表示の運転免許証は、運転免許証作成システムの改修等の所要の措置を了した 都道府県警察から発行を開始することとし、本改正の趣旨から、改元を待たず、可能な 限り早期に発行することができるよう準備を進めること。
なお、いずれの通達にも 原議保存期間30年(平成61年3月31日まで) 有効期間一種(平成36年3月31日まで)と記載されています。
民間会社でこのような書類を作ったら、「どういうつもりか!?」と突き返されてしまうでしょう。しかし、このような喜劇を真面目に演じているという異様さが業務を支配している「世界で唯一」の国家こそ、わが「日本」である、という実態を、我々は真面目に考えなくてはなりません。
念のため申し添えれば、警察庁のホームページにおいてこれらの通達のpdfファイル名は、menkyo20181228_064.pdfとmenkyo20181228_263.pdfで、もちろん西暦を使って管理していました。