沖縄では1972年「日本復帰」まで公文書は西暦表記。

2022年2月28日月曜日

地方自治体

沖縄では1972年の「日本復帰」まで、公文書は西暦で表記されていました。

沖縄公文書館では、琉球政府総務局渉外広報部文書課が、復帰を控えた1971年1月から翌年3月まで14号発行した『文書だより』をデジタル画像で公開しています。琉球政府から沖縄県への移行にともなう文書事務の変化に関する記事の一つとして「公文書の年号」についても紹介されています。

『文書だより』(3)公文書の年号 

 それによると、本土復帰以前に元号に改めるべきと言う意見、西暦が合理的であるから県政移行後の公文書も西暦使用を継続すべきとの声があり、検討をしてきたが、本土復帰前は特殊文書(儀式文、書簡文等)を除き、現状のまま西暦使用を原則とする。県政移行後は、公式制度の一環として、各都道府県並みに元号(昭和年号)を使用する。と決めたそうです。

 上記のリンクからデジタル画像で見ると、海外の状況や本土の状況も資料として紹介されています。


 資料2 本土における元号の現状 では、以下のように書かれています。1971年時点の本土の状況です。

1 法的関係
 新憲法施行と共に、旧皇室典範より一世一元の制度は除かれてたままになっており、現在は慣習法的に使用されている。

2 天皇の親書 
 昭和27年頃までは、年を表すのに元号のみを使用したが、講和条約で独立後は、すべてキリスト紀元(西暦をいう。以下同じ。)である。その理由は、不明である。

3 条約
 多数国条約では、戦前戦後を通じ、キリスト紀元のみを使用している。二国間条約では、戦前は、元号とキリスト紀元を併用したが、戦後はキリスト紀元のみを使用する例が原則であり、まれに元号を副次的に使用した例がある。

4 条約の批准書と勲記
 戦前は神武天皇紀元(皇紀)と元号が併用されたが、戦後はいわゆる皇紀は使用しない。

5 教科書
 西暦が年代は握に便利であるという見地から、西暦を原則として元号を副次的に使用している。


資料3 年代表記の世界の現状  では以下の記述がありました。

1 イギリスの法律公布
 西暦と国王治世何年と記入する。

2 西暦使用国
 アメリカ・フランスでは建国紀元を採用したが、キリスト教の歴史的伝統的重みに、やがて消滅し、西暦となった。
 大体において、キリスト教国、キリスト教国のかつての植民地において使われている。
 中華民国・中国・ソ連も使用している。

3 仏陀紀元
 タイ・ビルマ・カンボヂアで使用。 昭和46年は、仏陀紀元2514年である。

4 ヒヂラ紀元(イスラム暦)
 マホメット教国はすべてこれを使用したが、トルコ・シリア・イラン等はキリスト紀元を採用したが、ヒヂラ紀元と併用されている実情である。昭和46年は、1391年である。

5 韓国
 独立後、檀紀何年の建国紀元(檀君が古朝鮮を建国)を使用したが、対米的な関係から、公文書は昭和35年よりキリスト紀元を採用した。しかし、戸籍関係はいまなお、檀紀が採用されている。昭和46年は、檀紀4304年である。

その他、資料1は「元号に関する世論調査結果(総理府昭和36年11月実施)」、資料4は「旧憲法下の元号制度と戦後」となっています。

 

 年号の問題ではありませんが、労働局から、
問:行政府に対する新聞投書は、どう取り扱うか 
答:新聞投書は、主管局で即日回答文を作成し、広報課に送付する(1970.9.7総広第27号「新聞投書に対する措置について」)というやりとりがあり、文書名が西暦なのですぐに52年前と直感的にわかる当たり前さが新鮮です。