当会の連絡フォームから以下のメッセージを頂きました。
2020/10/29 15：40：52
b●●●●●●●.ocn.ne.jp様より
昭和の頃巷で元号ばかり使っていて西暦を使う習慣がなかった日本人よ、平成当りからなぜ巷では急に西暦ばかり使うようになったのか？疑念を抱いています。
また西暦を好んで使う人は、我が日本国に対する愛国心が薄れているのかね？と、これまた疑念を抱きます。
私たちは、「すべての公文書に西暦表記を！」、という私たちの提言をめぐって多くの方との議論を望んでいます。
特に、それに反対したり、疑問を持ったり、ためらったりする方々とこそ、話し合い、お互いの理解を深めていく必要を感じています。そこで、賛同以外の寄せられたメッセージにはできる限りお答えし、またここに公開していくことにします。もちろんご本人が希望されない限り匿名（メールアドレス一部黒塗り）で紹介します。
それらの記事には「疑問を持つ方々へ」という新しいラベルをつけて検索・まとめて読めるようにします。
また、直接ここにメッセージを頂かなくても、今後は典型的な反対や疑問の声に対する私たちの考えを明らかにして対話を求め、元号問題に対する理解がより深まり、必要な行動へと日本社会が動き出せるようにしたいと望んでいます。
上記の頂いたメッセージに対しては以下のお返事を差し上げましたので公開します。
b●●●●●●●.ocn.ne.jp様
当ブログを訪問し、メッセージを頂いたことに感謝致します。
当会は「すべての公文書に西暦表記を！」をスローガンに運動をしている市民団体です。
様々な資料もブログには集めていますので、是非ブログ内を巡回してお読み頂けますようお願い申し上げます。それにより、更にご意見をいただければ幸甚です。
さて、「昭和の頃巷で元号ばかり使っていて西暦を使う習慣がなかった」という具体的な調査結果については現在承知していないのですが、60数年間続くことができた「昭和」の数字をリセットして今度は「平成」という新しい数字を始める、という現実を前にして、多くの方が、これでいいのだろうか、と考え始めたために、「平成」あたりから「西暦」使用が増えた、という印象をお持ちになられる事態に至ったのではないでしょうか。
また、「天皇」という生身の体の存続を基にして設定してしまう以上、常識的には今後は30年程度でリセットが繰り返されると推測するのが合理的でしたから、論理的に当然想定されていたこととは言え、「平成」リセットの際には多くの方が自らの現実生活での問題として考え始め、30数年後の「令和」リセットの現在は、もはや、この世界で唯一、暦年の途中でもリセットしてしまう数字で年を表記した公文書を発行して、生活に余計な負荷をかけ続けてしまうという行動の限界が至るところで現れていると私たちは見ています。
誤解があるかもしれませんが、私たちは「公文書」に元号のみ表記をすることに反対しているのであって、個人の年賀状や、自分の生年月日の紹介に元号を使うことなどについては全くその個人の自由ですので、私たちの関知するところではありません。
また、「和暦」VS「西暦」という問題設定、すなわち、「日本」対「外国･西欧」という問題設定にしてしまうことも元号問題の核心から外れており、誤っています。
元号が持つ、世界で唯一、「不定期にリセットされてしまう、年の数え方」、という事が問題なのです。それによって公文書を作成するという事が問題なのです。
西暦以外にも北朝鮮の「主体○年」とか、台湾の「民国○年」とか、タイでの「仏歴○年」とか各種ありますが、いずれも紀元となる年を設定してそこから何年と連続的に数える方式です。日本固有のそれに相当するものを探そうとすれば、1872年（明治5年）に設定された「神武天皇即位紀元（皇紀）」がそれに相当することになります。
「元号」を｢和｣･暦と言い換え、｢和｣の対比語である、｢西｣暦、｢仏｣歴、｢イスラム｣暦、｢民国｣歴、｢主体｣歴などと共に各種を並列して比較する空間を作り、その中では、互いにどの制度も尊重しましょう、「日本人」は「和」を大事にしましょう、などという結論に落ち着けてしまうのは、リセットされる数字である元号を他の紀年法と対等の品質を持つものとしてみなしてしまう論理的錯誤を内包しています。
「西暦を好んで使う人は、我が日本国に対する愛国心が薄れているのかね？」
元号が元々は古く中国発祥の制度であり、日本がそれを輸入したことは衆知の通りです。それが「日本」固有の伝統だ、慣習だといわれるようになるためには様々な歴史的な契機があったのでしょう。
一方Wikipedia日本語版「民国紀元」の項には、台湾では、” 泛緑連盟党員や支持者たちは、「民国紀元は外来政権である中国国民党政権が中国から持ち込んだものだ」としており、民国紀元の使用に強く反発している。当時の民進党政権は、民国紀元を廃止して全面的に西暦へ転換する法改正を検討したが、最終的に実現しなかった。” （2020/10/29閲覧） という記載があります。出典が明記されていないのですが、論理的には成立可能な立場です。
私たちは日本社会に住む者として、この社会を少しでも良くしたいと考えます。b●●●●●●●.ocn.ne.jp様がどのようなお仕事をなさっているのかわかりませんが、お仕事や社会生活の中でどのように西暦や元号と付き合っていらっしゃるでしょうか。不便な制度であれば、私たちはその社会の、国家の主体として、それを皆で話し合って改善していきたいと考えます。それはその共同体への「愛」だと言っても良いのかもしれませんが、さすがにそれを広言するのは恥ずかしいかもしれません。
多くの方の意見を寄せて、それぞれが、冷静に、論理的に判断してこの国の未来を決めて行くべきだと私たちは考えているのです。
どうか、b●●●●●●●.ocn.ne.jp様がまた、このブログを訪れて下さり、再びご意見をお寄せ下さる事を願っています。お友達にもこのブログを御紹介下されば望外の喜びです。
メッセージありがとうございました。
西暦表記を求める会
※なお、せっかく頂いた貴重なメッセージですので、ブログにも、匿名で、ご意見と当会のこのお返事を掲載させて頂きます。
