韓国では法律で西暦紀元を公用年号と定めている。

2021年7月17日土曜日

他国家での状況

  日本では、「公用年号」という概念がありません。


 日本には「元号法」という法律がありますが、それは天皇が交代したときには政令で「元号」を変更する、と規定するのみで、「元号」の定義やそれは何に使うものなのか、という既定すらありません。
 1979年の法制定時には、「それは自明だから」という言い方で、結局、政府は逃げ回りました。現在、政府が天皇交代日をそれぞれの紀元とする「諸・元号」を公文書に使い続けている、すなわち不定期にリセットされる年の表記で公文書を生産し続けているのも、法ではなく、慣行(や伝統)による、という言い方しかできない状態が続いています。


 「元号法」制定時に、それを公文書で使うなどと提案してしまったら、その不合理への反対で、とてもそのような内容の法律は通りませんから、ごまかし続ける事になってしまい、それを問い詰めて結論を出すだけの度量がないまま、今日に至っているわけです。


 諸国家において、公文書の年の表記の仕方がどのように決められているのか(何が使われているか、でなく、どのようにそれが定められているか)は興味ある問題です。ところが、意外とそのような情報は見つかりませんでした。

 しかし、「司法書士制度と法制度を考える アジア法制度研究会」様のWebページに韓国での公用年号に関する法律が紹介されていました。
https://www.e-profession.net/asiken/archives/6443

韓国の公⽤年号については現在⻄暦が使⽤されていますが、1961年までは檀紀が使⽤されていました。

 経過からすると、1948年、大韓民国樹立の時に以下の法律で檀君紀元の使用が決定されました。

◎年号に関する法律[施行1948.9.25.] [法律第4号、1948.9.25.,制定]

大韓民国の公用年号は檀君紀元とする。

 1961年には以下の法律によって西暦紀元を 公用年号として定めました。

◎年号に関する法律[施⾏1962.1.1.][法律第775号、

1961.12.2. 廃⽌制定]

⼤韓⺠国の公⽤年号は⻄暦紀元とする。

附則<法律第775号、1961.12.2.>

①本法は檀紀4295年1⽉1⽇から施⾏する。

②法律第4号年号に関する法律はこれを廃⽌する。

③本法施⾏当時の公⽂書中檀紀と表⽰された年代は当該檀

紀年代から2333年を減じてこれを⻄暦年代と⾒なす。

④年代訂正においては公⽂書訂正に関する他法令の規定に

かかわらず、当該公⽂書の書式に適合するように年代訂正

印を使って訂正することができる。

 その後、 2014年に韓国語の表現上の変更がなされて現在に至っているとのことです。

 今後も世界各国の公文書における年の表記方法がどのように決められているか、調査をしていきたいと思います。既に情報をお持ちの方からも御教示頂ければ幸いです。

追記:2022/06/24
「檀君紀元」については、水島玲央さん(名古屋経済大・韓国憲法)から韓国学中央研究院という研究機関の「韓国民族文化大百科辞典」というページを紹介していただきました。Google翻訳でもだいたい理解できました。
http://encykorea.aks.ac.kr/Contents/Item/E0013543