報道各社に以下の文言で「取材のお願い」を送りました。( 10月24日付け)
取材のお願い
私たちは2019年、「令和改元」時に結成された市民団体で、公文書に西暦表記を義務づける事を運動目標にしています。 ※「西暦表記を求める会」で当会ブログをご検索ください。
このほど、添付した「元号レッドカード」を作成しましたので、その主旨と私たちの主張について広く知っていただきたいと思いご連絡いたします。
このカードは、政府が自ら主張している元号使用のルールに反した行動をとっていることに対して突き付ける「レッドカード」です。
「国民は自由に元号/西暦を使い分ける事が出来、窓口では西暦で書かれたものも受け付ける」、と政府は1979年の元号法案審議の時から一貫して主張してきました。しかし実際に起きている事象、すなわち、元号記入を強いられたり、電子申請プログラムでは「元号」でしか入力出来ない、ということは、明らかに政府自らの主張に反しています。それらに遭遇したときに突き付けるものだから、「元号レッドカード」、と呼ぶことにしました。
しかし、それに止まらずこのカードは、日本社会における「年表記」「紀年法」はどうあるべきかの議論を開始するためのツールとして考えています。カード裏面に書かれた、《⽇ 本における「年表記」のあり方について、今こそ、私たち⾃⾝が広く議論し、責任を持った結論を出そう!》という呼びかけこそ私たちがもっとも訴えたいことです。
なぜ70年以上も「元号」と「西暦」問題は決着がつかないのか?
戦後の国会議事録や新聞記事を「元号、西暦」をキーワードとして検索すると、この問題が決着を見ないまま、延々と「換算の不便さ」「不合理」を訴える声と、「元号」「伝統」を擁護する声が反復されていることが示されます。また2回の改元を機に、なし崩し的に社会的には西暦使用例が増加してきた傾向もわかります。しかし、肝心の公文書については依然として、なんら合理的な根拠を示せないために、「慣行だから」という理由のみで、不定期にリセットされる数字で表示される「元号」が使用され続けています。様々な世論調査も、「元号」と「西暦」についての個人の好みや、思いを尋ねるばかりでした。
結局、「社会における年の表記の仕方」、紀年法とはどうあるべきか、という原則についての議論から始め、具体的な事例に基づき、私たちの社会・国家がどのような紀年法をとるべきか決定していこう、という問題設定を見いだすことは出来ませんでした。
私たちこそが、この社会の「紀年法」を決め、新たな「日本の伝統」を作る主体だ
政府は2019年にすでに省庁データは西暦で統一することを決定済です。しかし、それを印刷するときはわざわざ「元号」に変換するというのです。このことは新聞でも広く報道されました。
ところが、この「データは西暦だが、国民の目に触れる時は元号に変換する」という政府方針については、議事録で検索しましたが国会で議論された事はありませんでした。
本来、国会でこそ、日本における「紀年法」がどうあるべきかという観点からの議論がされなければなりません。
「元号」使用に愛着を持たれている方はたいてい、「元号」は「日本」の伝統であり、素晴らしい「日本人のアイデンティティ」だという理由を上げます。また、政府は「元号の使用は慣行だ」と、百年一日のように繰り返します。しかし、それらの意見は私たちが直面している具体的な問題の水準で答えることから逃避しているようです。車検の期限日は「元号」が良いのか、「西暦」が適切なのか、生命保険の日付は「元号」が良いのか、「西暦」が良いのか、そしてそれぞれその理由は?、あるいはなぜ日本でだけ、将来の年を確定して表記できないのか、なぜ日本でだけ、換算ために無駄なストレスを費やさなくてはならないのか・・・。そのような具体的観点から、自らの社会をどのようなものにしていくかを決定するというのは私たちの責任であり、後世への義務でもあるでしょう。今存在する、「伝統」だとか、「慣行」だとかいうのも、必ず、ある時点で先人達がそれまであった「伝統」と「慣行」を変成して作り上げてきたものです。今ある「伝統」と「慣行」を絶対に変更してはならないものなのだ、と考えてしまうのは、それまであった制度を変更し、今に続く制度(今のわたしたちにとっての「伝統・慣行」)を作り上げてきた先人達への侮辱でしょう。
そう考えると、合理性から「西暦」を推す人も、日本の「伝統」だからと「元号」を推す人も、同じ一つの社会をどのようにより良く作り上げていくかという次元においては共通ですから、日本社会での「紀年法」について具体的に一緒に考えていくことが出来るはずです。
私たちが作ったこの小さなカードにはそのような願いが込められています。
報道に携わる皆様にも、日本における「紀年法」はどうあるべきか、という観点からの報道を切にお願いする次第です。
以上