裁判文書「和暦やめて西暦にして」弁護士の6割が希望

2024年1月4日木曜日

元号関係報道 法曹関係


 公文書は慣行として「元号」を使用する、という政府方針は、法律名や裁判文書でも完徹されていますが、このほど「弁護士ドットコムニュース」がアンケートを行った結果を2023年12月27日の記事として以下の様に公表しています。(弁護士387名の回答)

 裁判文書「和暦やめて西暦にして」、弁護士の6割が希望 「令和」で元号嫌い増加か?https://www.bengo4.com/c_18/n_16970/

 2019年5月1日の改元でカオス化促進
 「主に「昭和」「平成」「令和」の3種類の元号を使うことになり、文書作成者の負担も増し」、「労働事件では、現在30代の人も、生まれは昭和、入社は平成、解雇は令和というように3元号が入り乱れ、カオスと化している」、といいます。
 元号は世界中の他の紀年法とは異なり、唯一、天皇の在位という人間の生と紐付けられてしまっているために、概ね30年で変更、数字はリセットせざるを得ない設計になっています。そのような数値で、公文書(社会)の年表記を行おう、などという発想は無謀、カオス化は当然です。
 
「和暦」=元号使用は裁判所がそうしているから
 裁判所等に提出する書面で、「年」をどのように表記しているかを聞いたところ、もっとも多かったのは「和暦のみ」で55.6%だったそうです。理由の具体的な比率は掲載されていませんでしたが、「裁判所がそうしているから、という理由が多いようです」との事でした。
 和暦・西暦併記が23%、西暦のみが13.4%、その他が8.0%で、その他には当事者が外国人の場合は西暦併記、他方当事者と使っている暦が違うときは併記するなど、少しでもわかりやすくしたいという意向が見えました。
 
時間がかかる和暦・西暦の変換
何も見ずに、和暦と西暦相互の変換はすぐできるかを尋ねたところ、「やや時間がかかる」(38.5%)、「時間がかかる」(21.4%)と答えた人が6割近くとなりました。「できない」も25.1%おり、「瞬時にできる」は15.0%で最小でした。
ちなみに、「和暦を維持してほしい」と答えた弁護士限定で集計しても、「瞬時にできる」は20.0%でした。
多くの弁護士は、和暦・西暦の対応表を手元に置いたり、都度ネットで検索するなりしているようです。

 

やはり「公文書の西暦表記化」は必須だ

 このアンケートを読んで、社会における年表記というのは、統一されていなければならず、また普遍性も持っていなければならない、という事を改めて確認しました。

 また、年金、医療、裁判、といった公的業務に携わる専門家達は、行政が「慣行」だとして問答無用で継続している元号使用と、事実上の世界標準である西暦との臨界面で日々業務を遂行されているわけですが、単なる悩みや個人的意見ではなく、社会における年表記方式はどうあるべきか、という観点からの専門家としての見解を明らかにする努力をして頂きたいと思いました。