生保証券「生年月日は元号のみ」の奇妙さ

2021年12月22日水曜日

生活の中で

  長期契約が通常である生命保険証書において年の表記がどのようになっているのか、2021年9月から10月に、アンケート調査を行いました。

 生命保険協会加入42社と共済3組合の合計45組織にアンケートを郵送しましたが、結果的にはわずか7社の回答に留まりました。
 郵送の他にホームページからの連絡や電話も試みましたが、自社と既に契約していたり、契約を検討する「顧客」に対する窓口は整備されていても、今回のような、企業の実態や考え方を説明してくれる窓口というのはとても狭く、結局、当会からの照会に対しては多くの企業で門前払い、という大変残念な結果でした。

 口先で「顧客満足」や「持続可能性」を言うだけでなく、「社会的な存在」として、自らの考えをきちんと主張できる企業体になってほしいと思います。

 頂いた回答の集計は以下のとおりでした。

生保証券の年の表記方法アンケート集計表

企業別の結果はここをクリック(pdfが別画面で開きます)

   回答いただいた7社の内、
*元号のみを用いている項目は「被保険者の生年月日」のみに限られ、他の項目では元号のみ表記の会社はありませんでした。

*「被保険者の生年月日」については元号のみが5社、他は併記でしたから、生年月日という項目については「元号」表記に強く牽引される理由があると思われます。
 戸籍、住民票という公文書が「元号」表記のみであることと、過去の日付である事と関係していそうです。(「併記」という回答にかかわらず実際の証券では西暦のみ表示になっていた共済組合もありましたが。)

*それ以外の項目を「元号のみ」で記載している会社はありませんでした。
① 未来の日付の場合、元号では原理的に表現できない。
②「生年月日」は、住民票・戸籍など「公文書」での「元号のみ」表記と関係づけられてしまうが、他の項目は、「元号のみ表記である公文書」とは縁が切れている。
という二つの要因が、西暦表記を例外なく組み込んでいる理由かも知れません。

 一つの文書の中で換算表が必要な二種類の年の表記がなされていることについて、各社はどのような考えでそうしているのか、伺いたかったのですが、2020年の地方自治体アンケートでの際と同様、今回も、西暦と元号の使用実態についての各組織の考え方、今後への意見は「現状維持」以外には出ませんでした。一社のみが、自社の契約者は高齢者が多く、自身の生年月日は元号使用を望まれるので元号を使用している、と説明してくれました。

 やはり、国家として年の表記をどのようにすべきなのか、議論を起こすことが必要である、と改めて認識しました。