日本年金機構は電子申請プログラムを仕様変更せよ。元号使用を義務づけたものではないという政府説明に違反。

2023年2月20日月曜日

運動 政府の対応

 2月17日付けで以下の要請書を「日本年金機構」に送付しました。
 日本年金機構が電子申請を義務づけながら、元号入力しか受け付けないのは、「元号使用は義務づけたものではない」という政府説明に反しており、西暦入力も出来るようにプログラムを仕様変更しなければならない、という主旨です。
 今後の経過についてはこのブログで随時お知らせします。

 私たちが願っているのは、これを機に、日本社会における公文書の「年表記」について、具体的な生活から出発して国民的な議論を行い、どのようにすべきか、私たち自らが責任を持った結論を出すことです。


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 2023年2月17日

日本年金機構 御中

「西暦表記を求める会」
共同代表:稲正樹、澤藤統一郎、田中宏

電子申請プログラムにおける年表記入力方法についての要請


 貴機構ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 私たちは2019年に結成し、すべての公文書には西暦表記を入れるよう求めている市民団体です。

 1979年の「元号法」制定以来政府は、この法には「公的機関での元号使用を義務付けた規定はない」、「元号の使用を国民に強制するものではない」、「国民はこれまでどおり、自由に元号/西暦を使い分けられる」、「公的機関窓口での国民の元号使用はあくまで協力要請であり、西暦で記入されたものも受け付ける」と説明してきました。

 最近では2019年4月3日、菅義偉官房長官が記者会見で「元号の使用については政府として強制するものではなく、公文書についても使用の基準は特に設けておりません」、「元号の使用については、国民は元号西暦を自由に使い分けていただいてもよいということ」、「公的機関の窓口業務での国民の元号使用はあくまで協力要請であり西暦で記入したものも受け付けられること」と発言しています。

 紙による申請の場合、予め元号が印刷されている場合であっても西暦で記入した書類を受け付けるのだから元号使用を国民に強制したものではない、という論理でした。

 しかし、貴機構の電子申請プログラムでは別紙の通り、「年」について「元号」でしか入力できない仕様になっており、しかも2020年4月からは電子申請の義務化が始まっています。これは上述した、政府の一貫した説明に全く反しています。

 政府の説明どおり、電子申請においても「西暦」での申請が出来るように仕様を変更することを要請します。

 なお、この要請及び今後の経過は、公開のものとして、当会ブログにも掲載いたします。

 大変お忙しいこととは存じますが、2023年3月末日迄にご回答をいただけますようお願い申し上げます。

敬具

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別紙

例1

電子申請「届出作成プログラム 操作説明書 第27.00版 令和4年10月 
第二部 届書作成編 p43







例2

電子媒体届書作成仕様書 (CD/DVD仕様書)CSV形式届書作成仕様書(電子申請)
健康保険・厚生年金保険適用関係届書) 令和4年10月(14.0版)
表4.5.1-1資格取得届・70歳以上被用者該当届データレコード(年金事務所提出)の項目説明 (2/6)









以上

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「日本年金機構」宛て要請書 参考資料(以下を同封しました)

「西暦表記を求める会」

 

政府側のこれまでの主張から

 

政府は1979年の「元号法」制定時から一貫して、国民は自由に元号西暦を使い分けられるのであり、元号の使用は強制ではないと主張してきた。

公的機関での元号の使用は、「慣習」だという以外の根拠は示せないまま、公的機関の窓口業務での国民の元号使用はあくまで協力要請であり西暦で記入したものも受け付けられると主張してきた。

したがって、電子申請プログラムにおいて元号のみでしか入力=申請できない場合は、そのような政府の主張(例として以下に示す)、に反したものである。

 

12019(平成31) 43日 午前 内閣官房長官会見での発言 

https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201904/3_a.html

 【録画から抜粋】

元号の使用については政府として強制するものではなく、公文書についても使用の基準は特に設けておりません。平成改元時以降、元号の使用については、国民は元号西暦を自由に使分けていただいてもよいということ。また公的機関の事務については従来から原則として元号を使用してきたところでありこの慣行は今後も当然続けられていくべきものと考えていること。公的機関の窓口業務での国民の元号使用はあくまで協力要請であり西暦で記入したものも受け付けられること。この考え方は今回のですね改元においても基本的に踏襲をしています。こういうふうに認識をしております。

 

2)第87回国会 衆議院 本会議 第15号 1979(昭和54)316 (元号法審議)

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/108705254X01519790316/14

014 三原朝雄 (総務長官) 【抜粋】

 元号の強制的な使用をさせるべきではないと思うがどうかという御意見でございますが、この法案は、一般国民に元号の使用を義務づけておるわけではございません。今後も国民の英知と良識によりまして元号は使われていくものと思うわけでございます。

 西暦の併用をすべきではないかということでございました。御承知のように、この法律には、西暦使用については何ら制限をいたしておらないわけでございまして、今後とも現在のような形で併用されるものと思っておるところでございます。

 官公庁の使用についての御意見がございました。この法案には、元号の使用を官公庁において義務づけた規定はございません。国権の最高機関であります国会において、法律という形で元号を公式の年の表示方法とするものであり、国等の公的機関が元号を使用することを予定しておることは当然であります。したがって、国等の公的機関は、外交文書等特別な場合を除きましては、元号を使用することは当然であろうと考えておるわけでございます。

 教科書等のこともあるわけでございましょうが、教科書も現在までのやっておられることで、そのままの状態で元号と西暦との併用をやっていただくことになると思うわけであります。

 それから、官公庁への届け出等についての御意見がございました。この法案は、先ほど申しますように、一般国民に元号の使用を義務づけておるわけではございません。しかし、公の機関において今後とも現在のように原則として元号によって年を表示することになりますので、一般国民の公の機関に提出する申請書でございまするとか届け出書でございまするとかいうものにつきましては、公の機関における統一的な事務処理のため、元号の使用について協力をしていただきたいと考えております。ただ、西暦でどうしても記入して手続をしたいと言われる方については、西暦で受理するということになると思うわけでございます。

 

3)第87回国会 参議院 本会議 第13号  1979(昭和54)427 (元号法審議)

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/108715254X01319790427/22

022 三原朝雄 【抜粋】

次に、本法案が制定をされた後において、公の機関の手続あるいは届け出等において強制的な措置がとられるのではないか、現在でもそういうのが見られるがという御指摘でございました。御承知のように、私ども、本法案が制定されますれば、公的な機関の手続なりあるいは届け出等に対しましては、行政の統一的な事務処理上ひとつ元号でお届けを願いたいという協力方はお願いをいたします。しかし、たって自分は西暦でいきたいという方につきましては、今日までと同様に、併用で、自由な立場で届け出を願ってもこれを受理すると、そういう考えでおるわけでございます。

 

41979(昭和54) 69日 法務省民事局長通達
   「元号法の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて」 【抜粋】

・・・同法は、元号制定の手続きを定めることを主たる目的としたもので、国民に対してその使用を義務付けるものではない。・・・

一 年の表示方法として西暦を用いて届出等がなされた場合においても、市区町村長はこれをそのまま受理する。

二 年の表示方法として西暦を用いた届け出等を受理した場合において、これを戸籍に記載する際には公簿の記載の統一を図る趣旨から、従来どおり元号をもって記載する。
 なお、外国人の生年月日については、従来どおり西暦による。

三 戸籍の謄・抄本等は、原本に基づいて作成すべきものであるから、戸籍に記載された元号による年の表示を西暦による表示に改め、又は西暦による表示を併記した謄・抄本等の交付請求がなされても、これに応じることはできない。

 

 

以上

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