日本年金機構からの「回答」についての経過

2023年4月4日火曜日

運動 行政 政府の対応

 2月20日着で日本年金機構に要請書を送りました。
 要請書は、《日本年金機構の電子申請では「元号」のみでしか入力出来ないようになっているが、これは、政府の従来からの説明、すなわち、「元号」使用は強制ではない、「西暦」で記入されたものも受け付ける、という説明、に反しているので修正してください》という内容で、3月31日迄の回答を求めていました。

 書面での回答はいただけませんでしたが、電話で複数回のやり取りを行いました。
「お客様対応グループ」がまず外からの連絡を受け付け機構内の当該部署に配分する役割だそうで、その部署の方によれば(今回の電子申請についてではなく年金事務全般に対して)外国人や海外在住の方から元号ではなく西暦表記にして欲しいと言う要望が寄せられている、というお話しでした。
 この私たちの要請書については広報室が一元的に対応するという事でしたので、回答期限の3月31日に広報室から電話でお話を伺いました。
 その時点での回答としては、
《電子申請プログラムでは「元号」でしか入力できないという事実と政府のこれまでの説明を踏まえた上での今後の対応については現時点で回答はできない、調整整い次第、回答時期の目処が立ったら連絡する》
と言うことでした。当会としてもそのようにこのブログでは報告することにしていました。

 要請書についてはいくつかの報道機関に取材要請を行っていましたが、その中で4月3日に東京新聞が記事を掲載してくれました。記事では同じ広報室の回答として、「意見は今後の参考にする」という発言が掲載されています。
 そして新聞記事が掲載された同日午前、当会事務局に年金機構広報室から着電があり、新聞記事での表現と同じ「意見は今後の参考にする」が「回答」であると伝えてきました。
「電子申請で元号でしか申請できないことは政府のこれまでの説明に反している」という「事実」の指摘に対して「今後の参考にする」という回答はあり得ない、実際に我々が送付した要請書と政府説明をまとめた参考資料を読んで回答しているのか、と、質問したところ、驚くべきことに、子細は把握していない、と言い始めました。
 「広報室」は日本年金機構「内部」の担当セクションと「外部」との接点として機能しなくてはならないのですから、要請書が到着した2月20日以来1ヶ月以上の期間、詳細を検討していたはずの担当セクション(何という部署か判然としませんでしたが)と十分打ち合わせの上、対応して頂いたのでなくては会話しても意味がありません。
 要請書と政府のこれまでの説明を網羅した参考資料を十分に把握した上で回答するよう伝えて、電話を打ち切りました。

 以上が現時点で報告できる日本年金機構の「回答」です。

 今回の要請は、政府がこれまで説明し、最近の裁判でも国が「元号使用を強制していない証拠」として引用してきた、(紙で申請する時代なら成立する)「西暦に書き換えた申請も受け付けているのだから元号使用を強制などしていない」という言葉を繰り返す「場面」と、実際の申請フォームを作成する「場面」の両方で、政府も各現場も、漫然と先例踏襲でやり過ごしてきた〈弛緩〉が、電子申請時代には〈亀裂〉を引き起こしていることを指摘したものです。
 この〈弛緩〉は、紀年方法という国家・社会を構成するための基本的事項についてさえ、私たちが真剣に考えて解決方法を模索してこなかった弱さも意味しています。

 私たちの今回の要請は、単なる入力画面での修正を求めているに過ぎず、「昭和」「平成」「令和」と3つの元号で年を表記した「ねんきん定期便」で日本年金機構がその人の年金加入実績を報告して来るような状態をすぐに是正せよ、とまではとりあえず主張していません。
 入力のプルダウンメニューや元号選択番号に「西暦」を加えるだけで、とりあえずは、政府の「西暦での申請も受け付けているのだから、元号使用を強制などしていません」という言い方、現在は「虚偽」であるその言い方が、少なくとも前半部分は「虚偽」ではなくなるよ、と教えてあげているだけです。

 そしてこのような「虚偽」がまかり通ってきてしまった社会の在り方を、社会の主体である「私たち」が変えていくためには、日本における公文書の年の表記はどうあるべきかを、皆で議論する必要があります。日本年金機構の、元号のみでしか入力できない電子申請プログラムの問題化は、そのきっかけに過ぎません。

※なお、東京新聞の記事で「公的機関に西暦と併用するよう訴えている市民グループ」と紹介されていましたが、これは正確には、ひとつの年を元号と西暦で同時に表記しなければならないという意味での「併用」、あるいはひとつの書類や社会のなかで元号表記もあれば西暦表記もあるという意味での「併用」を訴えているのではなく、「公文書での年の表記には必ず西暦表記を含むこと」を訴えている市民グループ、というのが適切です。

 政府は現状の日本社会での元号と西暦の混乱を指して「併用」されているのだとさえ発言しているのです。
 第87回国会 衆議院 本会議 第15号 1979年(昭和54年)3月16日 (元号法審議)
014 三原朝雄 (総務長官)
西暦の併用をすべきではないかということでございました。御承知のように、この法律には、西暦使用については何ら制限をいたしておらないわけでございまして、今後とも現在のような形で併用されるものと思っておるところでございます。